BLOG ブログ

不動産の契約における『危険負担』とは?

今回のテーマは…不動産の契約のおける『危険負担』についてです。

まず『危険負担』とは双務契約において、一方の債務の履行が責めに帰すことができない
事由によって不能となったときに、他方の債務をどのように扱うかという
私法上の問題となります。

上記について、民法では債務者が危険を負担すべきとされています。
つまり、債務が履行できなくなったときには、債権者は反対給付を拒むことができ、
これは、双務契約では給付と反対給付とがその存続に関して相互に関連している点から
(存続上の牽連性)、一方の債務が消滅したときには反対債務も当然に消滅させる
(反対債務者を拘束から解放する)のが適切であると考えられているからです。

不動産の売買や賃貸の契約におけるケースでは例えば…

・自然災害(台風・津波・地震)や火災、売主・貸主の責任ではない理由によって、
 売買・賃貸契約を締結したが、引き渡しが不可能となった場合には、
 売主・貸主は契約を白紙解約できるという条項が通常入ります。
⇒これがないと、買主や借主から引き渡しを履行しないことを理由に
 損害賠償請求をされたり、違約金の請求をされるため

・土地や建物の売買でよくあるケースでは、隣地との境界標が不明の場合で
 売主負担で確定測量を実施して、境界標を設置する売買契約の場合では
 仮に隣地の承諾が得られない、そもそも隣地所有者の所在が不明で会えない
 境界確認の立ち合いをしてもらえない等で、定めた期限までに境界の確定が
 できない場合は、売主から売買契約を白紙解約できるという特約を付すケース

・物件の買主が融資を利用する場合に、買主の責任でない理由によって
(会社が倒産、事故で死亡・大怪我をして就労が不能等)によって
事前に金融機関に承認を得ていて、利用予定だって融資が受けられなくなった場合は、
買主から契約の白紙解約できるという条項も通常あります。
理由は上記の様に、損害賠償や違約金の請求対象にならないためです。

なお、民法(債権関係)改正(施行は2020年4月1日から)以前は、
不動産のような特定物の物権移転については、債権者が危険を負担すべきと定めていましたが、
この規定は削除されました。

CONTACT
お問い合わせ

不動産のことは何でもご相談ください。