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不動産トラブル/判例紹介/地中埋設物の存在

【実際にあった判例のご紹介】
地中埋設物の存在について、売主は物件状況報告書にて説明しているとして
買主の瑕疵担保責任請求を棄却した事例

・ケース

平成27年11月に買主Aと売主Bは本件土地及び建物(以下本件不動産)について代金4億5,000万円にて
本物件に隠れた瑕疵がある場合の売主の担保責任上限を100万円とする売買契約を締結した。

本件不動産の売買に際して、BがAに交付した物件状況報告書(本件報告書)にて
地中埋設物として、旧建物基礎を発見している旨及び過去に地下室のある建物が存在しており
その後、駐車場にする目的であったため、解体時のガラを地下室に入れて埋めた旨の告知を行いました。
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平成28年8月、Aは本件不動産をCに対して代金5億7,000万円、瑕疵担保責任はCの負担とする
売買契約を締結する。同年9月、AはCより本件土地の埋設物の撤去に1,000万円かかるとして
売買代金の減額請求を受け、Cとの売買価格を1,000万円減額する合意を締結する。
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同年11月、AはBに対して本件不動産の地中に埋設物が確認されたとして、損害賠償を請求する旨を通知。
令和1年6月、「本件各土地中にはガラ以外に建物の地下部分、梁及び基礎が埋設されていた。
建物の地下部分の基礎、梁が残っているのか、建物を解体した際にどの程度のガラを入れたかについて
Bから説明はなく本件報告書にも記載はない。
従って、本件土地中に埋設されていた建物の梁及び基礎並びにガラは隠れた瑕疵に当たる」と主張し、
損害賠償を求める本件訴訟を提起しました。

これに対しBは、本件報告書には敷地内残存物等について旧建物基礎を発見していた旨等を記録しており、
建物の閉鎖登記簿謄本も添付していたから、Aが本件土地に埋められていたものを知らなかったはずはなく、
隠れた瑕疵はないと反論しました。

・結果は?

裁判所は次の通り判示し、Aの請求を棄却しました。

①地中埋設物の撤去作業時の写真からは、Bが説明した部分以外の土地にコンクリート破片等が
 埋設されていたと認めることまではできず、Aは本件土地上に、建物基礎及び建物解体時に
 生じたガラが埋められていることを認識していたことも認められるため、
 建物の梁及び基礎並びにコンクリート破片等は隠れた瑕疵とはいえない

②Aはコンクリート等が若干埋まっている程度の認識であったと主張するが、
 AはBに対して地中埋設物について質問もせず、Bが埋設物を過少に説明した事実等もない。
 よって、Aの瑕疵担保責任に基づく請求には理由がない。

③AとBは、本件売買の際に、協議の上物件状況報告書等を作成したこと、
 Aが本件土地の埋設物の内容について認識していたこと等から、説明義務違反に基づく請求にも理由が無い。
 
 以上により、Aの請求は理由がないからこれを棄却する。
 (東京地裁 令和2年5月27日判決)

・まとめ

土地及び解体予定の上物付き建物の売買の際に、良く地中埋設物に関しては
問題になるケースが良くあります。私自身も何度か経験したこともあります。
裁判になったことはありませんが、負担金額等について揉めたことはあります。

今回の判決は、売買契約締結時に売主様、及び仲介業者が物件状況報告書をしっかり作成し
過少に買主に対して説明を行っていない為、買主Aの請求が棄却されました。
結果的に瑕疵(地中埋設物)がありましたが、具体的に埋設物の説明をしていることで
隠れた瑕疵には当たらないと認められました。

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