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不動産売買契約条項解説/住宅ローン利用の場合は関係/融資利用の特約とは?

住まいを購入される方の大半は、購入物件の一部または全部を住宅ローンを組んで
購入されます。今回は住宅ローンを組んで不動産を購入される方は関係する
『不動産売買の融資利用の特約』について解説したいと思います。

・融資利用の特約とは?

不動産売買契約における、『融資利用の特約』とは
簡単に言うと、買主が予定していた住宅ローンが万が一
契約後に金融機関に住宅ローンの本申込みをしたが、
不承認となった場合、売買契約を白紙解約できるという特約です。

通常、購入希望の不動産の購入申込~手付契約締結までに
買主は金融機関に事前審査を提出し、事前承認を得てから契約を締結します。

ただまれに事前審査はOKだったが、本審査で不承認となる場合があります。
そのような場合に適用される条項になりますが、
場合によっては適用されない場合もあります。
それは下記で説明していきます。

・融資利用の特約の契約書条文は?

融資利用の特約の契約書記載の条文は、以下になります。
※全宅連の不動産契約書の条項です。
 不動産会社や加盟団体によっては、文面が一部異なる場合があります。

(融資利用の場合)
第18条 買主は、この契約の締結後すみやかに、
    標記(I)の融資の申込手続きをしなければならない。
2 標記(I)の融資未承認の場合の契約解除期限までに前項の融資の全部又は一部について
  承認を得られないとき、又、金融機関の審査中に同契約解除期限が経過した場合には、
  この契約は自動的に解除となる。
3 前項によってこの契約が解除された場合、売主は、受領済の金員を無利息で遅滞なく
  買主に返還しなければならない。
4 買主が第1項の融資の申込手続きを行わず、又は故意に融資の承認を妨げた場合は、
  第2項の規定は適用されないものとする。

・適用されるケースは?

通常は事前審査に承認があれば、本申込時に不承認または減額となるケースは
それほど多くはないと思います。

私も現時点で約400件の不動産売買に関わってきましたが、
減額を含めても記憶にあるのは2件程度です。
※不承認は0件 減額2件と記憶してます。

この条項が適用される条件としては、契約書記載の様に
買主が契約後速やかに、契約書記載の期日までに事前審査時の状態で
金融機関に住宅ローンの本申し込みを行わなけらばなりません。

その上で、買主の落度が無いにも関わらず
契約書に記載した事前審査承認済の内容で、
融資が不承認または減額されたときに適用されます。
【考えられるケース】
・勤務先が倒産した
・事故にあった、大けがをして働けなくなった
・買主に問題はないが、購入物件の担保評価が低かった等

あくまで買主に落度、過失がないことが条件です。

・適用されない場合は?

適用されない場合は、適用される場合の逆
上記条文の4に記載があるように、
買主が申し込みをしていない、過失がある、故意に不承認となるような
行動をした場合は、適用されません。

【例えば…】
・契約後、契約書記載の期日までに本申込手続きをしていない
・事前審査通過後、転職した 新規・追加で借り入れを行った
・事前審査通過金融機関以外しか本申込みをせず、不承認の場合

買主が契約内容を守らない、買主の過失で不承認となった場合は適用できません。
事前審査時と年収、勤務先、既存借入の状況が変わり
不承認・減額の場合は不適用ですので注意下さい。

・本申込みをして不承認、減額の連絡があった場合はどうする?

売主が不動産業者で直接契約の場合は売主業者の担当者へ、
仲介業者が入っている場合は仲介業者の担当者に速やかに連絡してください。

状況を確認、協議の上対応を決めます。
協議の上、適用する場合は解約の書面を交わし、支払い済みの手付金は
返還され、契約は白紙解約となります。

例えば、一部減額となったような場合で買主が進めたい希望が強い場合は、
・減額分を自己資金や親の援助等で準備して進める、
・他の金融機関で本申し込みを追加で提出する等の対応をする場合もあります。
※私が担当した買主様で過去に本申し込みで減額となってしまった方はこれで進めました。

対応により契約書記載の融資承認を得る期日や、引渡の期日が
遅れてしまうような場合は、売主様とも協議し承認いただき
変更の書面を交わす必要がありますので、売主・仲介業者と
事前相談、連絡が重要となります。

・まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました

今回説明させていただいた、融資利用の関する特約は
あまり頻繁の起こることは考えられにくいケースを想定しておりますが、
大きな金額が関係することですので、該当した場合は注意下さい。

不動産の購入を検討して申し込みする場合、原則融資利用のある方は
同時に住宅ローンの事前審査の承認を求められるのも
契約書条項にこの特約が適用されるからになります。
(現金購入の方は、適用除外になります。)
売主様も契約後の解約は大きなリスクとなりますので、
基本事前審査が不承認の場合は、契約を進めることはありません。

万が一、買主側に過失があり条項が適用されない場合
買主側は手付金を放棄して解除または契約書記載の違約金を売主に支払う必要があります。

リスクを少なくするためにも、買主様は手付契約後は
速やかに住宅ローンの本申込みを行っていただき、
不承認や減額等 万が一、問題が発生した場合は売主、仲介業者に
速やかに連絡をし早めの協議、対応をすることが重要です。

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