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不動産契約条項解説します/引き渡し前の滅失・損傷の条項

不動産の売買契約を締結するにあたって、マンション・戸建・土地・収益不動産
すべての種目の契約に関係し、原則付随される条項である
引き渡し前の滅失・損傷に関する条項を今回は解説いたします。

・引き渡し前の滅失・損傷の条文とは?

(引渡し前の滅失・損傷)
第●条 
  1本物件の引渡し前に、天災地変その他売主又は買主のいずれの責めにも帰すことのできない事由によって、
   本物件が滅失し売主がこれを引渡すことができなくなったときは、買主は売買代金の支払いを拒むことができ、
   売主又は買主はこの契約を解除することができる。
  2 本物件の引渡し前に、前項の事由によって本物件が損傷したときは、売主は、本物件を修補して買主に引渡すものとする。
    この場合、売主の誠実な修復行為によって引渡しが標記の期日(C)を超えても、買主は、売主に対し、
    その引渡し延期について異議を述べることはできない。
  3 売主は、前項の修補が著しく困難なとき、又は過大な費用を要するときは、この契約を解除することができるものとし、
    買主は、本物件の損傷により契約の目的が達せられないときは、この契約を解除することができる。
  4 第1項又は前項によってこの契約が解除された場合、売主は、受領済の金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければならない。

  こちらが一般的な不動産売買契約書に用いられる、引き渡し前の滅失・損傷の条文になります。

・わかりやすく言うとどういう意味?

上記の条文の内容を一般的な言葉でわかりやすく言うと・・・

1.契約書で約束した引き渡し期限の前に地震や大雨等の自然災害や、火事等 売主にも買主にもどちらにも
責任が無いこと (例)地震で建物が倒壊、大雨で家が流された、倒壊した 火事で全焼や半焼してしまった等の時は
買主は残りの代金の支払いを拒否できるし、売主は契約を解除できる。

2.前項のように倒壊や使用不可能な状態ではなく、補修・修理等で済むような場合では
売主負担で修理して引き渡しをして下さい。誠実に修理、修復の為の行為を売主が実施している場合は
契約書上の引き渡し期日を買主は遅れたことに対する異議や文句は言わない。

3.売主は修理や補修が不可でなくても著しく難しい場合や、費用が売買金額に対し著しき多額の場合は
売主が契約を解除することができる。
買主側も損傷の内容により、購入目的が不可能、難しい場合は買主が契約を解除できる。

4.上記1~3により契約が解除された場合は、支払い済みの手付金は返還しその他仲介手数料等の
 支払い済みのお金があればすぐに無利息で返還しなければいけない。

・なぜ引き渡し前の滅失・損傷の条項が必要?

当然売買予定の不動産が引き渡し前に使えなくなった場合、契約は上記のように
無効、白紙解約となるのは一般的に考えて当然のことだと思います。

ただし、不動産の売買契約の場合 違約解除という条項もあり
原則契約書記載した期日を過ぎた場合、引き渡し期日を過ぎてしまった方が
相手方から違約金を請求される可能性があります。

上記のように修理、復旧に売買金額に対して多大な金額がかかる場合の売主様や
損傷内容によっては購入目的が達成できない買主様を保護する役割もあります。

・まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございます。
私自身は300件以上の取引をしてきましたが、滅失や使用不可能となり
白紙解約となった経験はありません。適用される可能性はかなり少ないと思います。

ただ近年の大型地震の頻発や、集中大豪雨等で地域によっては
該当する可能性も高まっているかもしれないので、注意が必要かと思います。

現実的に多いのは、手付契約時から通常は1~2ヶ月、長いと半年や1年後に引き渡しという
期間が空きますのでその間に給湯器が壊れた、ガラスが割れた等 契約時に伝えた内容と
違う場合は売主様の負担で修理・補修が必要となるケースですね。

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