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国交省、宅建事業者の『人の死の告知』で指針

不動産に関するニュースのご紹介です。
2021年10月8日 国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死に関するガイドライン』を
公表しました。今回はこのニュースをご紹介します。

ガイドライン公表の理由は?

不動産取引に係る心理的瑕疵のうち、取引対象となる不動産において過去に生じた
『人の死』について、宅地建物取引業者による調査や告知に係る判断基準が無かったため、
円滑な流通や取引が阻害される原因となっていた。また、賃貸住宅オーナーが所有物件で
死亡事故等が生じ、『事故物件』として取り扱われることを懸念し、単身高齢者の入居を
拒む事例も多かった。こうした課題を解決するために、人の死が生じた不動産の取引に関し、
宅建業者が宅建業法上負うべき調査の告知の義務の判断基準をガイドラインとして示した。

ガイドライン策定にあたっては、有識者による『不動産取引に係る心理的瑕疵に係る検討会』を
2020年2月に設置、21年5月にガイドライン案をパブリックコメントし、
その結果も踏まえ、都合7回にわたる議論を重ねたということです。

ガイドラインの中身は?

ガイドラインでは、人の死に関する事案が取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、
告知の義務が生ずるとした。「人の死」については、自然死や日常生活の中での不慮の死については
告知の必要がないとしたほか、賃貸借取引については、対象不動産・日常生活において通常使用する
必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死等以外の死、自然死等で特殊清掃が行なわれた
死については、事案発生から3年間が経過した後は告知の必要はないとしました。

また、賃貸借・売買取引ともに、対象不動産の隣住戸や日常的に使用しない集合住宅の共用部分で
発生した自然死以外の死などについても告知の必要はないとしました。

告知にあたっては、事案の発生時期(特殊清掃等が行なわれた場合は発覚次期)、場所、死因、
特殊清掃が行なわれた場合はその旨を告げる。告知の必要がない事案でも、
事件性や周知性、社会への影響が特に高い事案や、取引の相手方等の判断に
重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告知する必要があるとしました。

宅建業者の調査義務は?

その調査にあたっては、売り主・貸し主に対し、告知書等に過去に生じた事案についての
記載を求めることで、媒介活動に伴う通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとみなし、
周辺住民への聞き込みやインターネットサイト調査などの自発的な調査を行なう義務はないとした。

また、売り主・貸し主に対しては、事案の存在を故意に告知しなかった場合、民事上の責任を問われる
可能性があることをあらかじめ伝えることが望ましいとしたほか、売り主・貸し主からの告知が無い場合でも、人の死に関する事案の存在が疑われる場合は、売り主・貸し主に確認する必要があるとした。

まとめ

ガイドラインの中で、対象不動産の隣住戸や日常的に使用しない集合住宅での共用部分で
発生した自然死以外の死については告知不要とありますが、現実的に隣接住戸で自殺や事件死等
あれば告知する業者がほとんどかと思われます。マンション等の集合住宅ですと、調査段階で
分かればもちろん買主様にお伝えするようにはしております。
但し、大規模マンションで年数も古いマンション等で過去の共用部分での自殺、事故等を
すべて調査、把握することは難しいので、調査で分からない場合もあります。

これまで業者により、判断基準が慣習等はっきりしていなかった所が
ガイドラインで出されたことは前進だと思います。

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