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所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例とは/まとめ

今回は個人が居住用不動産を売却する時に、
譲渡益が発生した場合にかかる税金の軽減措置の一つである、
所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例』について
まとめてみたいと思います。

①対象となるケースは?

この制度は個人がその年の1月1日において所有期間が10年を超える
以下の居住用財産を譲渡した場合に適用されます。

①現に自分が住んでいる住宅

②以前に自分が住んでいた自宅で、自分が住まなくなってから
 3年後の12月31日までに譲渡したもの

③上記①、②の住宅およびその敷地の譲渡

④災害によって滅失した上記①の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば
 その年の1月1日における所有期間が10年を超えている住宅の敷地
 ただしその災害があった日以後、3年を経過する日の属する日の
 12月31日までに譲渡したものに限る

この特例は、居住用財産の3000万円控除とセットで利用可能です

②税率、計算方法は?

居住用財産の3000万円控除後にも、譲渡益がある場合は
以下の税率が適用されます。

①3000万円特別控除後の譲渡所得のうち6000万円以下の部分
所得税10% 住民税4%

②3000万円特別控除後の譲渡所得のうち、6000万円を超える部分
所得税15% 住民税5%→通常の長期譲渡所得の税率です

つまり居住用財産の3000万円控除後も、譲渡所得の発生した場合
6000万円までの部分の税率が約6%軽減される特例になります。

※平成25年より復興特別所得税として、所得税の2.1%が別途かかります。

③計算例

【計算例】
地価の高い都心エリアにて親から相続した戸建に30年以上居住、
子供と同居することになり8000万円で売却した場合

〇取得費は400万円(5%) 〇譲渡費用300万円

【所得税】
8000万円-400万円-300万円=7300万円(課税所得)

(6000万円以下の部分)
6000万円×10%=600万円(所得税)

(6000万円を超える部分)
1300万円×15%=195万円(所得税)

所得税合計は600万円+195万円=795万円
復興特別所得税として795万円×2.1%=166,950円が別途要

【住民税】
6000万円×4%=240万円
1300万円(6000万円を超える部分)×5%=65万円

住民税は240万円+65万円=305万円

このケースの税金合計は…
795万円(所得税)+305万円(住民税)+166,950円(復興特別所得税)
合計で11,166,950円になります。

通常の長期譲渡所得の場合だと譲渡所得の7300万円に対して、
所得税 7300万円×15%=10,950,000円
住民税 7300万円×5%=3,650,000円
復興特別所得税 10,950,000×2.1%=229,950円

上記合計額は14,829,950円になります。

このケースだとこの特例と通常の長期譲渡所得の税額で
3,663,000円の税額の差が生じることになります。

④まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございました

今回の所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は
通常の住宅街で自身で建築したり、購入してケースだと
居住用財産の3000万円の特別控除の範囲内に収まるケースが大半ですが、
地価の高いエリア等で相続で取得した自宅を売却した時に
3000万円を超える利益(譲渡所得)が発生するような場合に利用するケースが大半です。

もしくは周辺の開発が進み、購入時から周辺の不動産価格が
著しく上昇しているような場合も関連してくるかもしれませんので、
該当の可能性がある方は、頭の片隅に置いておいてもらえれば幸いです。

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