名古屋市は独り暮らしの高齢者が借りやすい民間の賃貸住宅を増やすため、
従来、大家が加入する「孤独死保険」の保険料を2022年度から肩代わりする。
住人が居室で独りで亡くなると、遺体や遺品の片付けが必要になり、入居者も集めにくくなるため、
高齢者との契約に慎重になりやすく、こうした費用や損失を補うことで
単身や高齢世帯の民間住宅への入居しやすくなることが、目的となります。
賃貸住宅で入居者が部屋内で独りで死亡した場合に清掃や消毒、遺品を整理する費用が
大家に発生し、「事故物件」と呼ばれ空室が続いたり、家賃が安くなる可能性が高くなります。
売却しても損失が生じる可能性が高くなり、孤独死保険はこうした費用や損失をカバーしており
保険会社が提供している。
日本賃貸住宅管理協会が会員向けに案内する孤独死保険は支払限度額が100万円、
保険期間12カ月の場合、1戸あたり保険料は年2520円が目安となっています。
大家が孤独死保険に自ら加入する際、保険料の一部を負担する制度は東京都豊島区や中野区など
一部自治体でが取り入れているところはあるが、名古屋市によると、自治体が大家に代わりまとめて
孤独死保険に加入する制度は政令市では初めてということです。
今回の仕組みは高齢者が入居する際、まず大家が名古屋市に申請し、市が保険会社と契約を交わし、
保険料を支払う。孤独死が発生した場合は大家が直接、保険会社に保険金を請求します。
すべての物件が対象となるわけではなく、高齢者や障害者などの入居を拒まない大家が宣言する
国の制度「セーフティネット住宅」に登録している物件が保険の対象になります。
名古屋市ではセーフティネット住宅を増やすため22年度に関連予算として1億円を計上しました。
2022年1月末時点で市内で1万5千戸だが、2030年に1万7500戸に増やす計画です。
セーフティネット住宅の登録条件は自治体ごとに定められ、4月から緩和されます。
国の標準的な基準では床面積が25平方メートル以上となっているが、鉄道駅から800メートル以内の
住宅であれば18平方メートル以上とされます。
高齢者にとって住まい探しのハードルは高く、市営住宅に一部で空きがあるが、駅の近くなど
便利な場所に人気が集中しています。2020年度には単身者専用の市営住宅が抽選倍率12倍と
なったケースもあります。
高齢者との賃貸契約を促すため住宅改修費や家賃債務保証料、家賃減額の補助金を受けられる制度は
すでにありますが、セーフティネット住宅でも高齢者や障害者などの「専用住宅」にする
必要がありました。実際は、普及が進んでおらず、今回の制度は一般の人が住める物件も対象と
なるのが大きな特徴です。
【名古屋市のセーフティネット住宅のHP】
名古屋市:住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅(セーフティネット住宅)(暮らしの情報) (city.nagoya.jp)